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システム管理では検索サイトを使うのが一般化していますが、ディストリビューション内にも管理のヒントとなるドキュメントが納めれており、知っておくと役に立つ場面もあると思います。本章ではそのような文書について説明します。
UNIX には man というオンラインマニュアルが用意されています。このマニュアルは、歴史的な理由で次の 8 章からなっています。
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ライブラリコール (システムライブラリに含まれる関数)
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スペシャルファイル (通常 /dev に置かれている)
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ファイルのフォーマットとその約束事。例えば /etc/passwd など
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マクロのパッケージとその約束事。man(7), groff(7) など
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この各章に、コマンドやシステムコールや関数のひとつひとつについて、一定の書式で書かれたマニュアル = manpage が入っています。manpage は、括弧内に章番号を入れて、例えば bash の manpage は bash(1) のように表します。この manpage を見るツールは、その名の通りの man です。
例えば、man bash で bash の manpage が見られます。man は環境変数 PAGER で指定されたページャ (テキスト表示ツール) を使って manpage を表示するので、manpage を見ている間もページャと同じ操作でスクロールや検索ができます。
manpage は普通は英語なのですが、パッケージ自身や JM などの和訳プロジェクトによって日本語版 manpage が提供されている場合には、日本語で表示されます。ただし日本語版 manpage は、国産ソフトウェアなど一部を除けばどうしても翻訳に遅れがでるため、ソフトウェアのアップグレードに伴って英語版 manpage やソフトウェアの現状と食い違いが生じることもあります。普段は日本語版が便利ですが、正確な情報を得るには念のため英語版も確認した方がよいでしょう。この英語版 manpage を見るには LANG=C で一時的にロケールを英語に変更して man を実行します。
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$ LANG=C man [<章番号>] <マニュアル名>
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ところで、同じ名前のマニュアルが別々の章に収められている場合もあります。例えば printf は第 1 章と第 3 章にあり、それぞれ printf コマンドと C 標準ライブラリ関数の printf について書かれています。どちらのマニュアルかを明示的に指定するには man 1 printf などと章番号を指定します。また、man -f で同名のマニュアルの一覧を表示することもできます。
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$ man -f <マニュアル名>
| $ man -f printf
| printf (1) - format and print data
| printf (3) - formatted output conversion
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man -k はマニュアルの逆引きをします。キーワードを指定すると、そのキーワードを含む manpage が一覧表示されます。
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$ man -k <キーワード>
| $ man -k bash
| bash (1) - GNU Bourne-Again SHell
| bashbug (1) - report a bug in bash
| builtins (1) - bash built-in commands, see bash(1)
| rbash (1) - restricted bash, see bash(1)
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いくつかのコマンドには info という man とは別系統のオンラインマニュアルが用意されています。両者の違いは主にその構造にあり、man が一本のテキストファイル的であるのに対し、info は Web ページのように各「ノード」の間にリンクが張られた形になっています。そのために、info を読むには専用のビューア (info コマンド) か、Emacs 系エディタの info モード が必要です。
info ビューアでは次の操作キーが使えます。Web ブラウザ感覚と言ってよいでしょう。
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「前」に表示したノードを表示。(Web ブラウザの「戻る(←)」相当)
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「次」に表示したノードを表示。(Web ブラウザの「進む(→)」相当)
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Debian では、各パッケージの添付文書を /usr/share/doc 以下にパッケージごとにディレクトリを作って収めています。添付文書には、ソフトウェアの原作者が提供するものと deb パッケージのメインテナが提供するものがあり、両方が同じディレクトリに入っています。原作者による典型的な添付文書には、以下のようなものがあります。
逆に、メインテナが提供する添付文書には、以下のようなものがあります。
これ以外にも様々な添付文書がテキスト形式に限らず HTML,SGML,TeX 形式などで収められていたり、設定のサンプルなどが収録されていたりすることがあります。
また、添付文書は原作者やメインテナによって gzip 圧縮されていることがありますが、lv コマンドは gzip 圧縮されたファイルも自動的に展開して読むことができます。
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Emacs 系エディタで info モードに入るには、M-x info とします。ちなみに、M-x は Alt と x を同時に押すことを意味しています。
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