ARMA
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マニュアル目次

はじめに

第1章 ARMA とは

第2章 インストール
2.1 インストールの準備
2.2 インストール
2.3 ORCAの設定
2.4 データ DVD-R/CD-R の作成
2.5 Windows 下での ARMA
  のブート CD-R の作成

2.6 ブートUSBの作成
2.7 NVIDIA ドライバの設定
2.8 AMD(ATI) ドライバの設定
2.9 無線 LAN の設定

第3章 システムの設定
3.1 管理ツール
3.2 パッケージ管理
3.3 マウントとアンマウント
3.4 デバイスファイル
3.5 ブートローダ
3.6 TCP/IPネットワーク
3.7 基本的なネットワークの設定
3.8 ssh による暗号化通信
3.9 X Window System
3.10 時刻合わせの設定

第4章 アプリケーション
4.1 ログインと基本的なコマンド
4.2 シェル
4.3 テキスト処理ツール
4.4 テキストエディタ
4.5 WWWブラウザ
4.6 電子メール
4.7 ダウンロードコマンド
4.8 音楽系ツール
4.9 DVD-RW/CD-RW の
  パケットライティング

4.10 動画再生環境の構築
4.11 システム管理上のヒント

第5章 アップグレード
5.1 ARAM2.2/2.1 から ARMA3.0
  へのアップグレード

5.2 ARMA2.1(ORCA版) から
  ARMA3.0 へのアップグレード


第6章 プレインストール
6 プレイストールのセットアップ



※プリントされた本マニュアルは
通信販売よりご購入いただけます。
(印刷はモノクロとなります。また
HTML版・オンライン版と若干バージ
ョンが異なる場合がございます。)
 
2.3 ORCAの設定
 
 ORCA (日医標準レセプトソフトウェア)はインストールの最終ステップあるいは、インストール後の管理ツールのメニューから選択しておこないます。
 いずれの場合も設定のステップは同じです。また以下の解説では X Window System ベースを中心にしていますが、コンソールでの設定フローも同一となりますので、そのままご参照ください。
 
2.3.1 用語について
 
 この章で使用している主な ORCA システムについての用語について簡単に整理します。
 
フロントエンド
 
 ユーザが ORCA と対面したときに、そのシステム上のバックエンド部を意識することなく操作が行えるよう作成されたインタフェース部分を指します。本ガイドでは X Window System で ORCA ログインしたときに起動される「ORCAクライアント」のことです。単に「クライアント」でも同じ意味で用いています。
 
 
バックエンド
 
 ORCA を構成するコンポネントで、ORCA クライアント以外の部分。データベースや認証系、バックアップ同期等、エンドユーザが直接触れることのないシステムの深奥部分をまとめてこう呼ぶことにします。本ガイドにおける「サーバ」と同義になります。
 
 
ホストタイプ
 
 ORCA のインストールを行う際、インストール対象マシンに対してどのような役割を担わせるか(サーバまたはクライアント)を必ず指定しなければなりません。具体的には4つのホストタイプのうちから一つを選択することでこれを行います。
 この「ホストタイプ」には、「デュアル構成でのプライマリサーバ」、「デュアル構成でのセカンダリサーバ」、「シングル構成でのサーバ」、「クライアント」の計4つ構成があります。
 
 
 
2.3.2 インストールの概要
 
 インストール全体の流れはおおよそ次のようになります。
 
 
 ORCA を構成するホストは必ず「サーバ」、「クライアント」のいずれかに分類され、さらに「サーバ」にも複数の種類がありますが、これらのうちのどのタイプを選ぶ場合でも、それぞれのサーバ、クライアントマシンには1ライセンスずつ ORCA 版 ARMA をインストールしていただく必要があります。
 ORCA におけるサーバ、クライアント構成パターンは主に次のようになります。
 
 
 サーバマシンインストール(サーバマシンには、「デュアル構成での(プライマリ・セカンダリ)サーバ」、「シングル構成でのサーバ」の計3種類のタイプがあります。)を選択するとクライアント機能も含まれていますので、クライアントマシンとしても使用することが可能です。
 ARMA インストールの後半部で、パッケージインストール完了後、ORCA 設定へ進むかどうか尋ねられますので、そこで「はい」を選択をすると、まず ORCA の4種類のインストールモードのうちから1つを決定する画面に切り替わります。この画面にてインストールを行うサーバのタイプを選択します。
 
 
 これら4つのホストタイプの概要はそれぞれ次のようにまとめることができます。
 
「デュアル構成でのプライマリサーバ」および「デュアル構成でのセカンダリサーバ」は、サーバ2台構成で運用する場合のインストールモードです。この構成は、何らかの事情により ORCA サーバ(プライマリ)が停止してしまった場合に備えてバックアップ用のサーバ(セカンダリ)をかわりに稼働させることを想定した運用構成になっています。
 
「シングル構成でのサーバ」は、ORCA サーバを1台のマシンのみで運用する場合のインストール方法です。デュアル構成用に別サーバを用意できない場合や、データベースバックアップ環境をデュアル構成に頼らずにご自分で準備される場合等はこちらのモードを選択します。
 
 ○
 
デュアル構成でインストールを行う場合は、最初にセカンダリサーバのインストール設定を行い、その後プライマリサーバを設定して下さい。
「クライアント」は、自ホストにおいて ORCA クライアントのみを動作させる「端末」用の設定となります。このモードでは、データベース等のバックエンド処理部分は含まれないため、他サーバに依存することになります。つまり、「クライアント」でインストールを行うためには、既に上記のどちらかのモードで ORCA インストールを終えているマシンが稼働していることが前提となります。
 
 
 既に ORCA サーバが稼働していなければ、「クライアント」インストールを行うことができませんので、ORCA サーバの構築をゼロから始められる場合には、必ず「シングル構成でのサーバ」もしくは、「デュアル構成でのセカンダリサーバ」のインストールから行うようにして下さい。また、4つの構成のうちから1つを決定しますと、それ以降は他の構成へ変更することができません。もし他の構成へ変更されたい場合は、インストールを始めからやり直していただく必要があります。
 
 
2.3.3 ホストタイプ
 
 ARMA インストールの後半で追加パッケージのインストールが終わると、そのまま ORCA の設定を行うかどうか尋ねられます。「はい」を選んで ORCA設定へ進みます。続けて ORCA のホストタイプを決定する画面になります。
 
 
 ここまでは各ホストタイプで共通の画面となります。
 
 
2.3.4 「シングル構成でのサーバ」を選択する場合
 
 
「ORCAホストタイプ」の選択
 
 ORCA のホストタイプに「シングル構成でのサーバ」を選択します。
 
 
 次の画面で「シングル構成サーバ」選択の確認画面になるので、「はい」を選びます。
 すると「ORCAサーバを初期化しています。このステップは数分かかります。しばらくお待ち下さい。」というメッセージが表示され、ORCA サーバの初期化が始まります。
 初期化にはしばらく時間がかかります。
 
 
マスターパスワードの設定
 
 次に ORCA の管理者パスワードの設定になります。管理ユーザ名は ormaster 固定となっておりますので、ここではパスワードのみを設定して下さい。
 ARMA に設定するルートパスワードの場合と同様に、他人に容易に推測されず、かつ管理者が忘れないようなパスワードを設定して下さい。
 
 
 二度入力したパスワードが一致していれば、「マスターパスワードを変更しました。」というメッセージが出ます。
 
 
ORCAサーバ状態設定
 
 続けて、ORCA サーバ稼働状態を変更する画面になります。
 
 
 「はい」を選んで ORCA サーバを稼働状態にして下さい。
 サーバが稼働状態になれば ORCA の設定が終了し、自動的に次のステップへ進みます。(ARMA インストール中に ORCA 設定を行っている場合は「デフォルトのパッケージソース」の設定へ進みます。また、管理ツール(ogl-admin)から設定を行っている場合は管理ツール(ogl-admin)のトップ画面へ戻ります。
 あとは全体インストールの終了後オペレータアカウントの登録を行えば、登録ユーザで ORCA が利用可能になります。オペレータアカウントの新規作成およびそのアカウントの有効化設定については、1.4「ORCAオペレータアカウントの作成方法」を参照して下さい。
 
 
 
2.3.5 「デュアル構成サーバ」を選択する場合
 
 デュアル構成で運用する場合、セカンダリサーバをプライマリサーバよりも先にインストール・設定をしておく必要があります。
 
1.セカンダリサーバのインストール
 
  プライマリサーバ指定「デュアル構成のセカンダリサーバ」を選択します。
 
 
 「デュアル構成でのセカンダリサーバ」でよいかどうか確認する画面になるので、選択に間違いが無いことを確認し、「はい」で進みます。
 
 
 次にセカンダリサーバが参照すべきプライマリサーバ名を指定するためのウィンドウが出現しますので、IP アドレス、もしくはホスト名を入力して下さい。
 正常にプライマリサーバの指定が行われると「セカンダリサーバを設定しました。」というメッセージが出ます。次にプライマリサーバの設定に移ります。
 
 
2.プライマリサーバのインストール
 
 「セカンダリサーバのインストール」と同様に後半のパッケージインストールまで進み「ORCAの設定」に入ります。
 セカンダリサーバ指定
 
 
 「デュアル構成でのプライマリサーバ」を選択します。
 その次に「デュアル構成でのプライマリサーバ」設定でよいかどうか、確認メッセージが表示されるので、「はい」を選んで進みます。
 
 
 次にセカンダリサーバのホスト名を尋ねられますので該当ホスト名もしくはIPアドレスを入力して下さい。「プライマリサーバを設定しました。」というメッセージを確認し「OK」を押します。
 
 
 ORCA サーバの初期化に入りますので、初期化が終了するのを待ちます。
  マスターパスワードの設定次に続けてマスターパスワードを尋ねてきますので、パスワードを入力して下さい。「マスターパスワードを変更しました。」というメッセージを確認し「OK」を押します。
 
 
 同期のスケジューリング同期のスケジューリングはセカンダリサーバのデータをプライマリサーバのデータと同期させるスケジューリング設定です。この設定は ORCA のフロントエンドから同種の設定をすることができますので、本設定はスキップしていただいても問題ありません。あえて管理ツール側の機能で同期させたい場合のみ設定してください。
 
 
 この「同期のスケジューリング」機能は、「DBデュプリケーション」機能によるデータ同期を補助する手段です。これを利用することにより、「DBデュプリケーション」に異常が発生して機能しなくなった場合でも、1週間もしくは1日前(毎日同期させている場合は少なくとも1日前の状態に戻れます)のプライマリサーバの状態にセカンダリサーバを同期させることができます。
 スケジュールをセットして「OK」を押すと、「データ同期のスケジュールを完了しました」というメッセージが出ます。
 サーバ状態の変更次に、ORCA サーバを稼働状態にするかどうか尋ねられます。
 
 
 「はい」を選択します。
 これで ORCA のデュアル構成の設定が終了します。この後、2.4.7「ORCAオペレータアカウントの作成方法」のセクションを参照して設定を行うと、ORCAデュアルサーバ構成が利用可能になります。
 
 
 
2.3.6 「クライアント」を選択する場合
 
 「クライアント」を選択します。
 
 
 「クライアント」の設定で良いかどうかの確認画面になるので「はい」を選びます。
 
 
 次に ORCA サーバの指定になります。、ここでサーバのホスト名もしくは IP アドレスを入力します。シングル構成の ORCA サーバの場合は「(プライマリ)サーバ:」のフィールドへ、デュアル構成の場合は加えて「セカンダリサーバ(使用する場合):」への入力を行って下さい。
 「ORCAクライアントを設定しました。」というメッセージの確認をして「OK」を押して先へ進むと、インストーラは「ORCAの設定」を抜け、次のステップへ進みます。
 
 
2.3.7 ORCA オペレータアカウントの作成方法
 
 ORCA がセットアップされているメニューから ORCA を実行すると ORCA へのログインを行うウィンドウが出現します。
 GNOME デスクトップから開始する場合は「ARMA」-「ORCA」から「日医標準レセプトソフト(ORCA)」を選択します。
 
 
 KDE デスクトップから開始する場合は「K」-「アプリケーション」-「ORCA」から「日医標準レセプトソフト(ORCA)」を選択します。
 
 
 
 
 これが ORCA への入り口になります。このウィンドウから ORCA 用マスターアカウント(ormaster)もしくはオペレータアカウント( ORCAの一般ユーザ )でログインすることで ORCA クライアントが立ち上がります。
 通常業務では、職員が自分のオペレータアカウントで ORCA にログインするというスタイルになるため、職員のオペレータアカウントの登録作業は必ず行う必要があります。
 ○
 
クライアント(端末)機能は、デュアル・シングル構成両サーバにもデフォルトで含まれています。
 オペレータアカウントで ORCA にログインするために必要となるアカウント有効化については、おおよそ2種類の作業を行う必要があります。この2つの作業はユーザから見た場合、管理ツール(ogl-admin)で行うべき作業、およびORCAクライアント上で行うべき作業の2つとして認識することができます。
 
 
2.3.8 管理ツール(ogl-admin)を使用してのオペレータアカウントの作成
 
 「オペレータアカウント」については、インストール中での ORCA 設定には含まれませんので、管理ツール(ogl-admin)を起動して設定をします。
 
(1)
新規作成
コンソール画面の login プロンプト、もしくは GUI のディスプレイマネージャログイン画面からrootでログインし、管理ツール(ogl-admin)を起動して「ORCAの設定」を選びます。(次の画面は GUI モードでの管理ツール(ogl-admin)の画面になりますので、ディスプレイマネージャ経由 (X環境のログイン画面)でログインした後、デスクトップ上の端末プログラムから管理ツール(ogl-admin)を起動したときのものです。コンソールログインから直接管理ツール(ogl-admin)を起動した場合は CUI モードで管理ツール(ogl-admin)が起動します。)
管理ツール(ogl-admin)のトップ画面から「ORCA設定」→「オペレータアカウント」を選択すると次のようなアカウント作成画面になります。
ここで「新規作成」を選びます。
 
(2)
オペレータアカウントの入力
任意のユーザーIDおよびパスワードを入力します。
設定されると、「アカウントを作成しました。」というメッセージが出るので、「OK」を押します。
 
(3)
エントリの確認
 
 
 アカウント作成終了の報告後、追加したオペレータアカウントのエントリが追加されていることを確認します。(ここでアカウント名をクリックするとパスワードを再度変更することができます。)
 オペレータアカウントに関する管理ツールによる作業はこれで終了です。
 
 
2.3.9 ormaster によるオペレータ ID 登録(職員情報の登録)
 
 ORCA の設定の中でオペレータ ID を設定したときに「まだアカウントが有効になっていない」旨のメッセージが出ましたが、ここではそれを有効にする方法を説明します。具体的にはマスターアカウントで ORCA にログインしてオペレータ登録(職員情報の登録)を行います。
 
(1)
ORCA ログイン
 ○
 
ormasterアカウントについては、マスターパスワードの設定が済んでいればログインできる状態になっています。
X 設定が済んでいることを確認し、ARMA の一般ユーザでログインしてXデスクトップ環境に入ります。すると「glclientランチャー」というタイトルのウィンドウが起動されますので、「ホスト」の欄に ORCA サーバのホスト名もしくは IP アドレス、「ユーザー名」の欄に「ormaster」、「パスワード」の欄に前のセクションで設定したマスターパスワードを入力して下さい。
 ○
 
Xの設定も管理ツール(ogl-admin)で行うことができます。具体的な説明については、マニュアル本編をご参照下さい。
 
(2)
ORCA クライアントの起動
アカウントの認証が行われると、「マスターメニュー」というタイトルのウィンドウが立ち上がります。
このウィンドウ左上部のプルダウンメニューを開始点として、「01医事業務」-「91マスタ登録」-「101システム管理マスタ」-「1010職員情報」と辿ると、「職員情報設定」画面になりますので、前セクションで登録したオペレータIDを登録します。具体的な登録方法については日本医師会のORCAプロジェクトのホームページにある説明と同様になりますので、そちらをご参照下さい。
 
(3)
ORCA クライアントの終了
登録がすんだら、「マスターメニュー」の起動時の画面に戻り、左下の終了ボタンを押して終了します。
 
 
 
 
2.3.10 ORCA クライアントの起動方法
 
 
 
 デスクトップの左上部にあるプルダウンメニュー(「アプリケーション」-「ORCA」-「日医標準レセプト(ORCA)」)を選択して「ORCAログイン」ウィンドウを立ち上げ、前のセクションで設定したオペレータIDを入力します。
 
 
 「マスターメニュー」というタイトルウィンドウ ( ormasterでログインしたときに出てきたものと同じウィンドウ )が起動すれば全ての設定が終了となります。この状態でORCAが利用可能となります。
 インストールおよび設定が済みますと、以降は日本医師会版の ORCA と同じ状態になりますので、ORCAのオペレーションの詳細等については日本医師会のORCAマニュアルを参照して下さい。
 
 
2.3.11 管理ツール(ogl-admin)による設定変更
 
 ORCA の初回設定を終えた後( ORCA 版 ARMA のインストール終了後 )、管理ツールを起動して「ORCA設定」を選ぶと次のような画面になります。
 
 
 ORCA の設定に必要なこれらの項目について説明します。(上記は「デュアル構成でのプライマリサーバ」を選択したときの写真ですが、選択したインストールモードに応じて管理ツール(ogl-admin)で設定変更できる項目も異なります。)
 これらの項目は、ORCA 版 ARMA のインストール時に「ORCA 設定」を行う選択をしたときに逐次尋ねられる内容と同じものです。サーバの状態の変更やアカウント関係の設定変更をするときにこの画面から操作を行うことになります。
 
(1)
サーバの状態変更サーバの状態にはそれぞれ、「稼働」「待機」「停止」の状態があります。ORCA は複数のコンポネントによって成り立っているため、それぞれのコンポネントの状態が意味を持ちます。簡単に言いますと、コンポネント全てが停止しているときが「停止」、全てが動作しているとき「稼働」ということになります。「待機」とはこれらのコンポネントのうちの一部だけが稼働(停止)している状態のことを指します。これはデュアル構成のセカンダリサーバの平常時における状態になります。
例えばデュアル構成の平常時は、プライマリサーバが ORCA クライアントから処理依頼を受けますが、そのプライマリサーバが何らかの事情によって使用不能状態になったとき、一時的にメインの ORCA サーバ機の代用となるのがセカンダリサーバになります。
そのためセカンダリサーバは、平常時からプライマリサーバのデータベースと自らのデータベースの同期を保ち続けることに専念します。プライマリサーバとのデータ同期をとるためには、データベース周辺のコンポネントのみが稼働していれば充分なため、一部機能のみ稼働した状態である「待機」がセカンダリサーバのデフォルトの状態になります。
システムを「待機」状態にしなければ行えない操作もありますので、運用においては適宜システムの出力するメッセージや警告を参照し、その内容に沿うように操作を行って下さい。
 
(2)
ホスト設定 (デュアル構成の場合のみ)
プライマリサーバ設定の場合はセカンダリサーバのホスト名または IP アドレスを、セカンダリサーバ設定の場合はプライマリサーバのホスト名または IP アドレスを設定する項目です。デュアル構成においてはこちらは必須の設定項目です。
 ○
 
ORCA 設定中作成したアカウントとARMAにおけるユーザアカウントを混同しないようにご注意下さい。
 
(3)
マスターパスワードマスターパスワードとは ORCA の管理アカウントに設定するパスワードです。この管理アカウントユーザ ID は ormaster になっています。パスワードは任意に決定することができますので、ご自分で管理して下さい。こちらもまた必須の設定項目になります。
 
(4)
オペレータアカウント管理アカウントに対し、ORCA を利用する一般ユーザ用のアカウントを「オペレータアカウント」と呼びます。マスターアカウントをオペレータ用アカウントとして使用することはシステム管理上望ましくないので、マスターアカウントとは別に必ずオペレータアカウントを設定して下さい。
 ○
 
シングル構成でのサーバ、およびクライアントの設定モードには「ホスト設定」の項目は表示されません。
インストール中もしくは管理ツール(ogl-admin)の中の「ORCAの設定」からこの登録を行うだけでは、オペレータアカウントは有効になりません。これを有効にするためには、本項目からオペレータアカウントを登録後、一度 ORCA の管理権限で ORCA クライアントを起動し、オペレータアカウントを職員情報として入力する必要があります。これにより、このオペレータアカウントで ORCA クライアントを利用することができるようになります。ここで一連の作業を終えたら、2.4.7「ORCAオペレータアカウントの作成方法」を参照して、アカウントを有効にする作業を行うことを忘れないようにして下さい。
 
(5)
セカンダリデータ復旧 (プライマリサーバのみで実行可能)「セカンダリデータ復旧」とは万一セカンダリサーバマシンに障害が生じたとしても、正常なプライマリサーバからデータを転送し、セカンダリサーバを復旧させることができる機能です。この操作はデュアル構成でのプライマリサーバのみから行うことができます。
 
(6)
同期スケジュール (プライマリサーバで実行可能)指定された時間にプライマリサーバのデータベース内容をセカンダリサーバへ同期させます。「毎日」もしくは「週に一度」の時間指定によって同期のスケジューリングを行うことが出来ます。
 
(7)
プライマリデータ復旧 (プライマリサーバで実行可能)「プライマリデータ復旧」はプライマリサーバのデータを復旧させる機能です。セカンダリサーバからデータ転送を行ってプライマリサーバをセカンダリサーバの状態に同期させます。
 
(8)
オンライン診療請求設定オンライン請求に使用する PPPoE を用いた IP-VPN の設定と接続をおこないます。詳細は 2.4.12「オンライン請求設定」を参照してください。
 
 
 
 
2.3.12 オンライン請求設定
 
 ○
 
これは ORCA クライアントを root で起動するということではありませんのでご注意ください。
 ここではオンライン請求に使用するネットワークの設定をおこないます。オンライン請求に関する詳細は社会保険診療報酬支払基金サイトの「レセプト電算処理システム」のページ( http://www.ssk.or.jp/rezept/index.html)をご参照ください。
 オンライン請求システムでは以下の種類のネットワーク回線でレセプトの提出を認めています。
 
ダイヤルアップ(ISDN)接続
 
IP−VPN 接続
 
IPsec と IKE を組み合わせたインターネット接続
 
 
 ○
 
オンライン請求をおこなうには「オンライン請求システム」のインストールと設定が必要です。「オンライン請求システム」は社会保険診療報酬支払基金にオンライン請求開始の届け出を提出することで入手します。
 ARMA ではこのうち「IP-VPN 接続」の設定に対応しています。
 
オンライン請求用ネットワークの設定
 
 設定は以下の手順でおこないます。
 
 
 「ORCA設定」-「オンライン診療報酬請求設定」-「新しいPPPoEリンクを設定」を選択し、設定を開始します。
 
 
 PPPoE の設定に名前を付けます。ここでは「onlinereceipt」としています。「OK」を選択し、さきに進みます。
 
 
 「インタフェース欄」は VPN 接続をおこなうネットワークインタフェースの名称を入力します。「アカウントID」、「パスワード」欄は 社会保険診療報酬支払基金から指定された ID とパスワードを入力してください。「OK」を選択すると「新しいリンクをテストしますか?」と聞かれるのでテストをおこなう場合は「はい」を、そうでない場合は「いいえ」を選択します。「オンライン請求設定」画面に戻り設定を終了します。
 
 
VPN 接続の実行
 
 
 
 設定済みのPPPoEリンクから選択」を選択します。
 
 
 さきほど作成した「onlinereceipt」を選択し、オンライン請求時のネットワーク設定とします。
 
 
 オンライン請求をおこなう場合に、「PPPoE リンク」の開始を選択し, PPPoE を用いた VPN を張ります。「オンライン請求システム」を起動し、レセプトの送信をおこなって下さい。
 
 
オンライン請求システム実行時の注意事項
 
 社会保険診療報酬支払基金から配布される CD-ROM に収録されているオンライン請求システムは、Web ブラウザである Firefox2 をもとに開発されています。ARMA では Firefox3 をもとに開発された Iceweasel をデフォルトのウェブブラウザとしていますが、これらのソフトウェアは同一の設定ファイルを利用するため共存できません。オンライン請求システムが予期しない動作する可能性がありますので、オンライン請求システムを使用するアカウントでは Iceweacel を利用しないようにご注意下さい。
 
 
 
2.3.13 異常時のデータ復旧(デュアル構成の場合のみ)
 
 ARMA 版 ORCA では、
 
プライマリサーバ、セカンダリサーバのいずれかに障害が起き、使用不能であると判断される場合
(もしくは使用を続けると矛盾状態となり正常な運用を行うことができなくなる場合)
 
もう一方のサーバが正常な状態である場合
 
 
 この2つの条件を同時に満たす場合に、正常側のデータを異常発生側サーバへ、強制的に上書きコピーすることによってサーバの復旧を行う方法を提供しています。
 この復旧手段を活用して ORCA サーバの正常化を行う場面としては、次のようなケースが想定されます。
 
(1)
即時に 正常側サーバのデータを問題発生側サーバへ書き戻す。
 
(2)
しばらくの間、正常な方のサーバで運用を行う。そして問題発生側サーバが起動可能状態となり、正常サーバが業務で使用されていない別の時間帯に、暫定運用を行って更新された分のデータを含む全データの書き戻しを復旧機に対して行う。
 
 
 データ復旧時は両サーバとも停止状態となりますので、ORCA クライアントからサーバへのアクセスを行うことはできません。(1) は即時書き戻しが行える状況のとき、(2) はサーバをすぐには停止できない状況において正常側をとりあえずシングルサーバとして用い、後で停止できる時間を設けて最終的にデュアル構成として復旧を行う場合の方法です。
 (1) の場合はすぐに書き戻しを始められる状況にあることが前提のため、ORCA クライアントからのアクセスを配慮することなくサーバ機を停止することができます。一方2.の場合は一時的に正常側サーバでのシングル運用を行うため、プライマリが障害発生マシンであった場合には、ORCA クライアントの接続先をセカンダリサーバへ切り替える作業を行う必要があります。(障害発生機がセカンダリサーバであった場合は、プライマリサーバ一台でそのまま暫定運用を続けられます。セカンダリサーバが復旧するまでは、シングル構成でのサーバ運用と同じ状態になります。)
 その際は、まずセカンダリを待機状態(デュアル構成時セカンダリの平常時の状態)から稼働状態(緊急時、代替状態)へ変更する必要があります。クライアント機からの接続先 ORCA サーバの切替は、「glclientランチャー」の「ホスト」欄にセカンダリサーバのホスト名もしくは IP アドレスを入力することでおこないます。
 
プライマリサーバに障害が発生した場合
 
 データ復旧を即時に行う場合
 
障害発生
マシン復旧
データ復旧
正常化
プライマリ
×
復旧
待機
稼働
セカンダリ
待機
待機
待機
待機
 
 代替機を暫定的に運用し、あとで復旧を行う場合
 
障害発生
マシン復旧
データ復旧
正常化
プライマリ
×
復旧
待機
稼働
セカンダリ
待機
稼働
待機
待機
 
 
 
セカンダリサーバに障害が発生した場合
 
 
障害発生
マシン復旧
データ復旧
正常化
プライマリ
稼働
稼働
稼働
稼働
セカンダリ
×
復旧
待機
待機
 
 
 データ復旧の操作はプライマリ側の管理ツール 管理ツール(ogl-admin) から行いますので、少なくともマシンが起動していなければなりません。
 ハードウェア的障害あるいは ORCA 以外のソフトウェア障害要因でプライマリサーバマシンが起動しない状態にある場合は、まずその問題を解決してから、起動状態にし、データ復旧作業を行ってください。
 尚、既にデータベースのバックアップアーカイブやフルバックアップなど、静的な状態でバックアップソースをお持ちの場合は、復旧方法が異なりますので、ここでは触れません。予め取得しておいた PostgreSQL のダンプファイルを書き戻すことによるデータ復旧の方法については、日本医師会ORCAプロジェクトのホームページ( http://www.orca.med.or.jp/index.rhtml)に説明がありますので、そちらをご参照下さい。
 上記の表の「データ復旧」に対応する具体的な作業手順について説明します。
 
セカンダリデータ復旧
 
 
(1)
管理ツール(ogl-admin)の「ORCA の設定」から「セカンダリデータ復旧」を選択します。
「プライマリサーバのデータをセカンダリサーバにコピーします」という確認のメッセージが表示されるので、「はい」を選びます。
「プライマリサーバを「準待機」状態に変更する必要があります。」という説明がありますが、これは復旧開始後システムが自動的に変更してくれます。
 
(2)
「ORCAサーバの状態を変更しています....」というメッセージが表示されます。
 
(3)
「データを修復中」というメッセージが出ます。修復が終了するまで待ちます。ここでの待ち時間は、復旧するデータ量に比例します。しばらくお待ち下さい。
 
(4)
データ修復が終了すると、「データを修復しました。ORCA サーバを開始しますか?」というメッセージが表示されます。
この状態では、データ同期は終了していますが、ORCA サーバが起動していないため ORCA クライアントからアクセスを行うことができません。ORCAサーバを利用可能にするために「はい」を選択します。
問題なくORCAが起動すれば、管理ツール(ogl-admin)のトップ画面に戻ります。
 
 
 
 
プライマリデータ復旧
 
 
(1)
管理ツール(ogl-admin)の「ORCA の設定」から「プライマリデータ復旧」を選択します。
 
(2)
「この修復作業ではセカンダリサーバのデータをプライマリサーバにコピーします。・・・」という確認画面になりますので、「はい」を選んで先に進みます。
 
(3)
「本当にデータ修復を開始してよいですか?」という再確認メッセージが表示されますのでさらに「はい」を選んで進みます。
 
(4)
「ORCAサーバの状態を変更しています・・・」というメッセージが表示されるので、サーバ状態が「稼働」から「待機」に変わるのを待ちます。
 
(5)
「データを修復中・・・」というメッセージが出てデータ復旧が始まります。修復が終了するまでしばらくかかります。
 
(6)
修復が終わると「データを修復しました。ORCAサーバを開始しますか?」というメッセージが表示されます。
ORCAクライアントからの接続が行える状態にするためには、ORCAサーバを開始する必要があるため、「はい」を選びます。
 
(7)
「ORCAサーバを稼働状態に変更しています・・・」というメッセージになります。システムが自動的に ORCA サーバの状態を「待機」から「稼働」に変更します。
 
(8)
問題なくサーバの状態が変更されれば 管理ツール(ogl-admin) のトップ画面に戻ります。ORCAクライアントから正常に接続できることを確認して下さい。
 
 
 
 
「同期スケジュール」機能についての補足説明
 
 プライマリサーバの管理ツール(ogl-admin) 「ORCAの設定」の中に「同期スケジュール」という項目がありますが、これは飽くまでも ORCA セカンダリサーバのデュプリケーション機能(複製機能)を補うためのものです。
 ORCA のデュアル構成運用では、プライマリサーバとセカンダリサーバの内容が、リアルタイムに同期していることを前提としています。従って、仮にプライマリサーバに異常が発生したとしても、その時点ですぐにセカンダリサーバの内容をプライマリへ転送すれば、完全に元の状態に戻ります。
 しかし、セカンダリサーバへのデュプリケーション機能が何らかの原因で働かなくなる可能性があります。そのときに発生時に失われるデータを最小限にくい止めるための補助機能が「同期スケジュール」機能です。
 この ORCA に組み込まれている「デュプリケータ」機能に問題が発生してしまうと、ORCA はシステム的に致命的な状態になりますので、セカンダリサーバの内容がいつの時点のプライマリサーバの内容と一致しているのか判断がつきません。
 「同期スケジュール」項目で設定する「同期」機能は、「デュプリケータ」に依存しない補助のデータ同期機能です。
 実際にデータを復旧する場面を想定した場合、その障害が発生するまでにエラー通知を受けたことがなければ、最新の状態に書き戻されますが、エラー通知があった場合には、復旧後の状態は「同期スケジュール」で設定した日付までさかのぼることになります。例えば毎日同期させる設定を行った場合は1日前の状態に戻ることになります。
 ○
 
「IP-VPN」以外での接続は別途 ARMA Net サポートまでご相談下さい。
 不整合が発生した場合、原則的にプライマリサーバとセカンダリサーバとの差分を知る術はありません。つまり、それだけシステム全体に矛盾が生じてしまっている状態にあるといえます。
 一度このような状態になった場合には、数日前のデータに戻ることをご了承の上でプライマリサーバの管理ツール(ogl-admin)の「ORCAの設定」から「セカンダリデータ復旧」を行っていただくか、予めご自分で取得されたバックアップを用いて復旧を行っていただくことになります。
 
 
 
2.3.14 ご注意
 
 deb パッケージのアップグレードにつついては、日本医師会版の ORCA パッケージは ARMA 版 ORCA と全く互換性がありませんので、ARMA 版 ORCA が設定されている状態から、日本医師会版の ORCA パッケージをインストールしてしまわないようにご注意下さい。こちらを行ってしまいますとそれまでのデータが失われ、復旧が行えなくなる可能性があります。
 インストールおよび設定の途中で警告やエラーが出て先へ進むことが不能になってしまった場合や、その他解決できない問題に遭遇してしまった場合は、ARMA Net サポートをご利用ください。
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PostgreSQL のデータベースを参照しながら逐一データ比較を行えば可能ですが、大量のデータの場合は事実上不可能です。

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