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2003年11月5日
オモイカネ株式会社

東風フォントのトラブルおよび ARMA での今後の対応につきまして

 お客様各位:
  
 平素より、オモイカネ製品・サービスをご愛顧いただき、誠にありがとうございます。
  
 昨今「東風フォント」と呼ばれるオープンソースフォントのトラブルについて何回か報道がされております。私共ではライセンス上の分析からトラブルが深刻化しないものと判断し、事態の推移を見守っておりましたが、東風フォントの製作者の方が製作停止を表明されましたことを受けまして、東風フォントの配布を停止することを決定いたしました。
 ARMA ではリコーフォントをメインとしていることもあり、ライセンス関係および ARMA の利用につきましてはとくに影響はございませんが、法的な問題についてご心配されるユーザー様向けに、今回のトラブルの経緯とライセンスの関係、および弊社の製作方針につきましてご説明いたします。(なお本アナウンスは、リーガルリスク上のセキュリティアナウンスとして登録ユーザー様向けにメール配信した内容と同一のものとなっております)
  
 ○ 経緯
 
 今年、あるユーザーコミュニティーの方が、書籍「書体を創る」等に掲載されているビットマップフォントと、広く使われてフリーとされていた32ドット日本語明朝ビットマップフォントが同一であることを発見しました。さらに確認が進み、もとをたどると1989年以前にデッドコピーが発生し商用BBS等を通じて配布が開始されていたことが判明いたしました。
 この32ドットビットマップフォントは、数回の変換を経て、フリーのアウトラインフォントである東風フォントでもプロトタイプとして使われております。東風フォントは文字エレメントを独自に設計し、バランスを取り直してアウトラインフォントとして製作したもので、元のフォントのバランスや特徴を共有しています。
 もとのフォントの現在の権利者は日立プリンティングソリューションズ社(以降日立P社)およびタイプバンク社となっており、この「発見」を受けて、以下の告知をおこなっております。
 
 
(1)「日立−TB 32ドットフォント明朝体」の権利について
当フォントに関しては、日立およびTBが共同で開発したものであり、権利は両社にあります。従って、両社に無断で、日立−TB 32ドット明朝体の権利を使用したフォントの制作、公開、配布を行うことはできません。
(2) Linuxにおける使用について
当フォントのLinuxでの流用に関しては、両社に無断で使用されておりますが、Linux システムの振興活動を考慮し、これに協力するため、限定した範囲での使用を認めることにいたします。使用を希望される方は、下記にお申し出ください。
 
 
 (2)については、非商用限定の配布を認めるとのことですので、日立P社としましてはオープンソースではないという見解を述べております。また具体的に東風フォントとの権利関係を私共でさらに問い合わせをいたしましたところ、日立P社は「デザイン権」なるソフトウェアと同等の権利が及ぶ、と明言いたしました。
 このような日立P社のスタンスを受けまして、東風フォントの製作者も公開・製作の停止を表明いたしました。
 以上が経緯の全体となります。
  
 ○ ライセンスの関係
 
 そもそも日本ではタイプフェースの保護に慎重であり、著作権法上・意匠法上の保護はなく、タイプフェースを間接的に保護する法としては不正競争防止法があるのみとなっています。
 東風フォントの場合、最初のデッドコピーから10年以上の時間を経ており、さらに変換しビットマップフォントからアウトラインフォントへと改善されているわけですから、不正競争にあたるとは考えられません。
 また仮にタイプフェースを保護する何らかのルールがあったとしますと、例えば日本タイポグラフィ協会でも「タイプフェイスに関する倫理綱領」「望ましいタイプフェイス法的保護のあり方」等の提言がおこなわれておりますが、仮に著作物として二次著作物の範囲まで保護された場合、新しいタイプフェースが非常に作りにくくなりますので、一般的にタイプフェースの保護を望む側も硬直的な保護を望んでいるわけではありません。
 以上のような現状から、過去にフォントに投資をされてきた日立P社、タイプバンク両社につきましては同情いたしますが、東風フォントはオリジナル性を持つ作品であり、少なくとも法的な権利が東風フォントに及ぶことはない、ということが弊社の見解となります。
 
 ○ ARMA での対応
 
 以上のように東風フォントは他者の法的権利を侵害するものではなく、おそらく社会的にもタイプフェースを過敏に保護する必要はないと思われますが、東風フォントの製作者の方も日立P社の意向を重視されており、製作と配布の停止を決定しております。
 弊社でも製作者の方の意向に準じ、配布物としての ARMA および ARMA Net リポジトリからも順次、同フォントにかかるパッケージを削除し、依存関係を修正していくことと致しました。具体的にはアップデート時に順次東風フォントの削除・代替をおこないます。
  
 以上が ARMA での対応となります。ご理解のほど、よろしくお願いいたします。

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